2017年08月21日

「目の常識が覆る新知識15」、あなたの常識は古くありませんか?

あなたは、目の健康について気を使ってますか?私は以前目にいいからとブルーベリー錠を飲んでいましたが、どうもそれは詳しいエビデンスがあるわけではなさそうです。

ということで、今日は眼科外科医のスーパードクター深作秀春医師に教えて頂いた、「目の常識が覆る新知識15」をご紹介したいと思います。きっとびっくりすると思いますよ。

1.老眼は40代からなるものではなく、若くても老眼になる

老眼は目の調節力が落ちてくることです。一般的には40代以降に起きると思われていますが、実は20歳過ぎから、目の調節力は落ちてきているのだそうです。
どういうことかと言うと、遠くを見てから次に近くを見たとき、見えづらく不自由に感じれば、それが老眼の始まりだそうです。

「人間の目は、カメラでいうとレンズの役割をしている水晶体を使い、その厚みやカーブを変えることでピント調節をしています。この能力は20歳ぐらいをピークに衰えていきます。そういう意味では、20歳を過ぎたら老眼が始まりつつあるといえます」(深作医師)

2.老眼が自然に治ることはなく、治ったように感じたらそれは核白内障という病気

「年を重ねたら老眼が自然に治ったという人がいますが、核白内障という水晶体の核が濁る病気が隠れていることが多い。中央の核の屈折率が強くなり近視化が起き、近くが見えやすい状態になるのです。この現象と同じ理論を応用したのが、白内障手術の多焦点レンズ移植です」(深作医師)

多焦点レンズは遠くも近くも裸眼で見えるように深作先生らが海外で開発した技術だそうで、現在ではスタンダードになっていますが、手術を行う腕が確かでないと視力が出ないことも多いそうです。

3.「ブルーベリーは目の健康にいい」と言われるが、確かなエビデンスはない

「ブルーベリーは目にいい食べ物として知られていますが、実は確かな科学的根拠がありません。ビルベリー(ヨーロッパのブルーベリー)に含まれるアントシアニンの成分がいいとも言われていますが、抗酸化作用があるので目の健康にいいかもしれない、という程度です」(深作医師)

「ブルーベリーは目の健康にいい」と言うのは、夜間も有視界飛行であった第二次世界大戦当時、空軍パイロットたちが“夜もよく見えるように”とビルベリーのジャムを食べていたエピソードが広まったものだそうです。ですから、これをもってブルーベリーに“目の栄養”としての効果を期待するには、難しいと思われます。

4.目が疲れたらマッサージするのは、網膜剥離や白内障の原因になるのでNG

「むき出しの臓器である目やその周りをマッサージしたり、叩いたり、こすったり、温めたりする方法を紹介する本がありますが、私にとってはとても信じられない内容です。これが毒にも薬にもならないものだったら無視しますが、このような刺激はおおいに毒になるのです」(深作医師)

目に外から力を加えると、網膜剥離や白内障の原因になるということです。目が疲れたときに、ついついやってしまいがちなマッサージですが、実は目にとっては危険な行為なんですね。

5.「近視は病気ではない」というのはウソで、強度近視は病気である

「角膜から網膜までの長さを眼軸といいます。眼軸が長いと近視、短いと遠視になります。これらは目の形なので、顔の違いのような身体の一部の特性だといわれることがありますが、20代以降でも近視が進行するのは『強度近視』という病気です」(深作医師)

通常は20歳ぐらいまでに近視の進行は止まるそうですが、それ以降も近視の進行が続くようなら、強度近視を疑い検査をしたほうが良いそうです。

「目の中に水を分泌している部分があります。そこから必要以上に水が分泌されて眼圧が高まり、眼軸(眼球の長さ)がどんどん長くなり、近視が進むのが強度近視です。治療は眼圧を下げる緑内障の点眼薬を使い、眼軸が長くなるのを抑えて近視の進行を防ぎます。放っておくと網膜が薄くなり破けて網膜剥離の危険性が高まり、50代半ば過ぎくらいでは網膜黄斑部の障害が出やすくなります」(深作医師)

6.目に優しいコンタクトでも、ドライアイにはNG(ドライアイにはコンタクトは向いてない)

「コンタクトレンズは涙に浮いているようなものですから、ドライアイの人はもともと向いていません。そもそも、目に優しいコンタクトなんてものはありません。酸素透過性70%と高くても、それは工場出荷時の数字。装着しているうちにタンパク質、脂、カルシウム、汚れが付着して酸素透過性がどんどん低くなります」(深作医師)

メガネと同様に身近に感じるコンタクトレンズですが、深作医師によると、

「コンタクトは医師が扱う高度管理医療機器です。本来は熟練した医師が診療を行い、十分な検査を行ってから装着するべきなのです。コンタクトを使っている人は、自分が患者であるという意識を持ちましょう」と言うことです。

7.コンタクトは保存液に入れておけば安心ということはない(保存液に洗浄力はほとんどない)

「コンタクトに付着したタンパク質は、保存液が除去して清潔にしてくれると思っていませんか? 保存液の成分は水とほとんど一緒です。もし本当にタンパク質を分解できて、細菌も殺せるほど強い液体ならば大変です。そんな液につけたコンタクトを装用したら目の細胞が死んでしまいます」(深作医師)

また、保存液がないからと、水道水で代用すれば、もっと大変なことになるそうです。
「水道水には雑菌が含まれていますし、地方によってはアメーバ原虫もいます。私が診た患者さんで、水道水を保存液がわりに使ってアメーバ原虫により角膜炎にかかり、目がほとんど見えなくなって、早急に角膜移植をしたことがありました」(深作医師)

8.眼球体操では目は良くならず、逆に網膜剥離の危険がある

「左右上下に激しく目を動かす眼球体操は、とんでもない行為です。目の健康増進や老化防止にはまったく役に立たないどころか、網膜剥離の原因になります。目を激しく動かすと目の中の硝子体が激しく揺れ、その線維に付着した網膜が引っ張られて裂ける危険性がある。中年以降は硝子体が収縮して、硝子体線維が揺れやすくなっています」(深作医師)

眼球体操をまじめにやって網膜剥離になった患者を、深作先生は何人も診てきたということです。

「目の健康が書かれた情報が本物であるかどうか見分けるには、著書プロフィールに“眼科専門医”は最低条件です。しかし、近年はこの眼科専門医が書いた本として“写真を見て目がよくなる”とか“穴あきメガネで目がよくなる”など、科学的根拠に乏しい本が出ています。もちろん眼科以外の分野だったり怪しげな経歴であれば疑ってかかったほうが身のためです」(深作医師)

9.白内障は放置すると緑内障へのおそれがある

「白内障と緑内障は別々の原因と思っている人もいるかもしれませんが、言ってしまえば白内障は、緑内障の始まりなのです」(深作医師)

白内障は水晶体が濁る病気、緑内障は眼圧が高く視神経が障害される病気です。いずれも中高年に多くなる病気で、関連性が高いということです。

「水晶体は加齢により大きくなります。そのため目の中の水が流れ出る道の出口(隅角=ぐうかく)が狭くなり眼圧が高くなる。これが緑内障の始まりです。白内障は時間がたっても手術は可能ですが、緑内障でダメージを受けた視神経は元に戻りません」(深作医師)

10.白内障は薬では治らない

「白内障にかかると手術しか有効な方法はありません。日本では予防薬というものがありますが、これは日本にしかなく、私はかなり怪しいと思っています。日本の薬の治験制度は、アメリカのように客観的データで見る国とは違います。白内障の予防薬として使われているカタリンなどは、もともと肝臓の代謝薬として考えられたもので、代謝に良いなら白内障に効くかもしれない、という思惑で出されました。医学的な効果が科学的に証明された薬ではないと考えたほうがいいでしょう」(深作医師)

11.緑内障に使う目薬は、失明に至る速度を遅くする効果はあるが、根本的な治療ではない

「緑内障は新しい薬がどんどん開発され、日本では治療を薬に頼っています。確かに眼圧はある程度下げられるようになりましたが、薬は失明に至るスピードを遅くするだけで、根本的な治療ではありません。しかも、どれも高価な薬です。その薬を使い続けても、結局見えなくなってしまった、と嘆く人が後を絶ちません」(深作医師)

また、緑内障の治療法としては手術もあるそうです。

「視野の障害の程度に合わせた最新手術を受けることです。これは優秀な眼科外科医でないと安心して依頼できません」(深作医師)

眼圧を見ながら症状に合わせた手術を併用するため、経験と知識がある眼科外科医を、情報を集めて選ぶしかないそうです。

12.できるだけ早く発見して手術をすれば、視力が回復する可能性があるが、症状が悪化してからでは弊害が出てくる

「白内障の患者さんは医師から“もう少し様子をみましょう”と言われていませんか? 白内障の手術を遅くしてよいことなどありません。逆に遅らせると、弊害が出ることを知るべき」(深作医師)

項目9で、白内障は緑内障の始まりと説明しましたが、

「偽落屑(ぎらくせつ)症候群で白内障になっている人は要注意で、早期の手術が必要です。優秀な眼科外科医が執刀すれば視力を1・0から1・5まで出すことも可能です」(深作医師)

この偽落屑症候群とは、タンパク質からなる“フケ”のようなものが沈殿する病気で、この病気も緑内障を進行させてしまうということです。

「一方、緑内障は早い段階では眼圧を下げる点眼剤や飲み薬での眼圧降下を行いますが、適切な時期に優秀な眼科外科医による手術が有効です。また、緑内障の手術は、術後に再発するケースが多くあります。症状に応じて緑内障の手術ができる眼科外科医を探して手術を受けるべきでしょう」(深作医師)

13.白内障の手術は、執刀医によって結果は全く違う

「白内障は手術を行う施設によって結果が全く違います。単焦点レンズでも差が出ますが、多焦点レンズは、さらにそれが顕著です」(深作医師)

単焦点レンズは焦点をひとつに合わせたもので保険診療を受けられますが、一方、多焦点レンズは遠くも近くも見えるが、自由診療になります。

「多焦点レンズは片目で50万円以上するのに、手術をする人の腕によって術後に出る視力が違うというのは納得できないと思います。多焦点レンズを移植したのに、視力が0・2程度しか出ないためガッカリして私のところへやってきた患者さんがたくさんいます」(深作医師)

視力が出ない多くの理由は、白内障が後嚢(こうのう)という部分に薄く残っていることが原因だそうです。

「水晶体のカプセルを完全にクリーニングすることが大切ですが、これは大変難しい上級テクニックです」(深作医師)

14.アトピーや花粉症でも網膜剥離になるので、目をこすったり、かいたりするのは禁物

「アトピー性皮膚炎の人は、かゆい部分をかくと皮膚から血が出ることから、手で叩いてかゆみをまぎらわせることがあります。何度も言うように目はむき出しの臓器。こすったり、かいたり、ましてや叩いたりすることの影響は想像以上に大きいのです」(深作医師)

それらの行為は小さな衝撃のように思えますが、

「弱い衝撃のエネルギーが何千、何万回と目に加わればダメージは相当大きい」(深作医師)

これを防ぐには根本的なアトピー性皮膚炎の治療が必要になってくるということです。

「漢方主体の『越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)』と、入浴後のアルガンオイルを肌に塗り込む方法がオススメです」(深作医師)

15.網膜剥離は、最高の腕の眼科外科医を見つけてすぐに手術するべき

「数日おいても大きな影響はありません。早いにこしたことはありませんが、世界最先端の眼科外科手術を提供する施設で、高い手術成績を持つ眼科外科医に手術を依頼することを優先してください」(深作医師)

バックリングという古い技術で手術を行ってしまうと、あとで大変なことになるということです。

「残念ながら日本では旧式の手術を行っている施設が多数存在します。古いやり方で手術を行い、私のところで再手術をする患者さんを多数診てきました。よく調べて、最良の眼科治療を受けてください。ほかで手をつけず早めに直接来院すれば、網膜剥離は最高の硝子体手術で必ず治します」(深作医師)

いかがですか?最新の目に関する情報でしたが、本当に「目からうろこ」でしたね。

40歳を過ぎたら、“優秀な眼科外科医を選ぶ目”こそが、必要なのかも知れません。


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ラベル: 健康 常識
posted by 圭ちゃん at 18:52| Comment(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月20日

熱中症や脳梗塞を防ぐ「医学的に正しい」汗の拭き方があるそうです

 西日本は例年になく暑い日が続いていますが、東京は8月に入って毎日雨を観測しているとか。湿度も高くて、ムシムシ。洗濯物も乾きにくいので、大変ですね。

 やはり夏はそれなりに暑くて、汗をかかないと夏らしくないのではないでしょうか。

 暑い夏に心配なのが脱水による熱中症や血栓症ですが、「汗の拭き方」も工夫次第で熱中症や脳梗塞・心筋梗塞などの予防になるということです。

 今日は、汗と臭いの専門家である五味クリニック(東京・新宿)の五味常明院長の情報を元に、「汗の拭き方」について、ご紹介したいと思います。

 五味さんは次のように言われています。

・「噴き出す汗は乾いたタオルでしっかり拭いて皮膚を乾燥させたいと思うでしょうが、我慢してください。この時季の汗は湿り気が皮膚に全体に少し残る程度に拭くのが一番。小まめに軽く拭くか、ウエットティッシュで拭くことです。その方が“ムダな汗”をかいて体内の水分を失うことが少なくなります」

・「これは、夏にかく汗の役割は、体内で産出される熱から、内臓や脳といった重要器官を守るため、体内の余分な熱を体外に放出して体温を一定に保つことです。それには、打ち水で大地を冷やすのと同じ理屈で、皮膚から気化熱を効率よく奪うことが大切だからです」

・「汗が蒸発して体温を下げて平熱に戻れば、それ以上汗をかくことはありません。ところが、その途中で噴き出る汗を完全に拭いたり、冷房が効いた部屋に入って皮膚を乾燥させると、気化熱で体温を下げることができなくなる。結果、熱が体の中にこもり、脳と皮膚の2つのセンサーから“もっと汗を出せ”との指令が出て、より大量の汗が流れてしまうのです」


 こうしたことを何度も繰り返すと、大量の汗と共に体内から必要な水分やミネラルが失われ、めまい、脱力感、筋肉のけいれんを起こす可能性があるので、注意が必要だそうです。

 でも夏はただでさえ、血管が広がっていて血圧が低い上に、汗の原料である血液から水分が抜ければ脳の血流が不足して失神を起こしたり、血栓ができてそれが肺や脳や心臓に飛ぶことで重大な事態を招きかねません。

 そこでもうひとつ汗で忘れてならないことは、「汗には熱を体外に放出するのに“有効な汗”と“ムダな汗”があること」なんだそうです。

「通常、汗が汗腺から皮膚表面に排出されると、すぐに蒸発します。ところが、汗の排出量が最大蒸発量を超えると汗が目に見えてきます。これは体を冷却するのには役立たないムダな汗です」(五味さん)

 ですから、このムダな汗を有効な汗に変えるためには、汗は完全に拭き取らず、皮膚全体に薄く塗りつけた方がいいのだそうです。
「水分の蒸発量は蒸発面積が大きければ大きいほど多くなります。汗孔から出た汗は、そのままその付近にとどまると蒸発面積は小さい。汗をのばすことで蒸発面積を広げれば、汗は蒸発しやすくなり、体を効率的に冷やすことになります」(五味さん)

 人間の皮膚には浅い溝が縦横に走っていて、汗の蒸発面積を増やすのに適した構造となっているそうで、「汗を少し残してそれを塗りのばす」のは、これを推し進めることにもつながるということです。

「汗は食塩水ですから、真水に比べて蒸発が抑制されています。汗の量が多くなれば、汗に含まれる塩分は多くなるので汗が蒸発しにくい。汗を皮膚にのばして蒸発面積を広げることは、その意味でも有効なのです」(五味さん)

 でも、汗をかくとどうしても「汗臭い」という、臭いの問題が気になります。

「汗の臭いの主な原因は、皮膚にひそむ細菌の増殖です。汗が少ないときは汗が皮膚面を酸性化して細菌の増殖を抑制します。しかし、汗が増えると皮膚はアルカリ性に傾いて抑制効果が低下し細菌などが活動して臭くなる。この時季の汗は湿り気のある除菌シートで拭くのがベストでしょう」(五味さん)

 いかがですか?まさに汗の科学といった感じですね。

 たかが汗と思うことなく、汗を効率的に流すことは熱中症や心血管イベントの予防だけでなく、体の臓器のムダな動きを抑えて、夏バテも防ぎたいものです。


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posted by 圭ちゃん at 18:38| Comment(0) | 病気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月19日

電子タバコも「動脈の老化」を速めさせるそうです

 私はタバコを吸わないので良く分からないのですが、今いわゆる電子タバコ(電気式加熱タバコ、e-cigarette)が人気なんだそうです。

 でも、実際のところ、電子タバコの健康への影響は、どうなんでしょうか?

 タバコには違いないんだから、やはり体には良くないのかなと思って吸われている喫煙者の方も、多いのではないでしょうか?

 ということで今日は、この電子タバコの健康影響について、米国の生理学会(American Physiological Society、APS)に発表された新しい研究の内容について、ご紹介したいと思います。

 この研究は、米国ウェストバージニア大学の研究者によるポスター発表(※1)です。

 米国生理学会のリリースによると、「電子タバコの使用は心血管の老化を加速させる(E-Cigarette Use Accelerates Effects of Cardiovascular Aging)」という意味の発表で、メスのマウスを使い、電子タバコから気化させたニコチン18mg/ml添加のカプチーノ風味のエアロゾルに暴露(急性:1回5分、慢性:4時間/1日、5日/週、8ヵ月間:※2)し、大動脈の硬さを評価したものだそうです。

 その結果は、電子タバコも紙巻きタバコと同じで、急性暴露では細動脈の直径(ベースライン)に変化はなかったものの、暴露後60分すると細動脈の直径が平均31%減少したということで、また、ニコチン刺激による血管拡張の減少もみられたそうです。

 一方、慢性暴露したマウスでは、比較群のマウスと比べ、大動脈の硬さが2.5倍になっており、また、比較群マウスの大動脈の柔らかさ(弛緩率)が90%だったのに比べ、慢性暴露マウスの大動脈では70%に落ちていたそうです。

 つまり、通常の加齢による動脈の老化より、電子タバコ暴露群のほうが悪化していた、ということになります。

 研究者によれば、この研究成果は電子タバコによる血管に対する影響をマウスの生体内で最初に示した研究だそうです。

 これにより、「電子タバコによる急性暴露が血管機能に悪影響を及ぼし、また慢性暴露は加齢による大動脈硬化を速め、血管の拡張性を損なうことがわかった」と、この研究者は述べています。
 
 電子タバコについてのこの研究結果は、紙巻きタバコのものと同じです。つまり、ニコチンが体内に入ることで、血圧が一時的に上がり心拍数も増えるため、ニコチンが添加された電子タバコも紙巻きタバコと同様の作用があるのだろうと、推察されます。

 また、紙巻きタバコを吸うと、煙に含まれた酸化物質により血管収縮や動脈硬化が起き、心筋梗塞などの心血管疾患を引き起こしやすくなることがわかっていますが、今回の発表をした研究者は、電子タバコも同様に「危険」と警告しています。

 さらに今年5月には、スイスのベルン大学の研究者がフィリップモリス社のiQOS(マルボロ・レギュラー)から出る煙の成分を分析したところ、紙巻きタバコに匹敵する有害物質が出ていた、という研究報告を米国の医学雑誌『JAMA(The Journal of the American Medical Association)』に出しています。

 それによると、ホルムアルデヒドはiQOSが3.2μg、紙巻きタバコ(ラッキーストライク・ブルーライツ)は4.3μg(いずれも1本当たり)であり、アセナフテンという多環芳香族炭化水素にいたっては、iQOSのほうが約3倍多かった(※3)そうです。

 一方、この研究結果に対し、フィリップモリス社はPubMedコメントに実験手法などに関する反論(5月31日)を即座に出しています。ちなみにアセナフテンは「環境中に放出してはならない」物質で「長期的影響により水生生物に非常に強い毒性」がある、とされる(※4)ものです。

 一般的に気体の中に微粒子が浮かんでいる状態を「エアロゾル(aerosol)」と言います。例えば、ヘアスプレー、火事の煙、光化学スモッグ、粉じん、花粉なども全てエアロゾルです。

 実は、タバコの煙もこのエアロゾルに含まれるのですが、そもそもiQOSのような気化式の電子タバコの場合、タバコの煙とは異なった微粒子となることが予想されます。

 一方で、電子タバコが「禁煙サポートに効果がある」という説もあり、実際に米国で喫煙率が下がった理由に電子タバコを挙げる研究者もいます(※5)。

 何にしても、こうした電子タバコの微粒子を吸い込むことで、体内でどんな悪影響が起きるか、まだはっきりとわかってはいないというのが、実態のようですね。

 タバコは、「百害あって一利なし」と言われています。できるだけ吸わないに越したことはないのは間違いないと思いますので、タバコを吸われている方、禁煙に努力されませんか?

※1:Mark Olfert, Stuart Clayton, Evan DeVallance, Kayla Branyan, Chris Pitzer, Matt Breit, Hannah Hoskinson, Kyle Mandler, Brett Erdreich, Powsiri Klinkhachorn, Paul Chantler, "Acute and Chronic effects of E-Cigarette Vapor Exposure on Vascular Function : New Friend or Old Foe?", American Physiological Society Conference: Cardiovascular Aging: New Frontiers and Old Friends, 2017
※2:8ヶ月=32週。マウスのメスでは、〜6週齢=若齢、12週齢〜13週齢=適齢、38週齢〜50週齢=老齢、という大まかな目安が使われている。
※3:Ret Auer et al., "Heat-Not-Burn Tobacco Cigarettes:Smoke by Any Other Name." JAMA Intern Med. May 22, 2017
※4:国際化学物質安全性カード「アセナフテン」
※5:Shu-Hong Zhu, Yue-Lin Zhuang, Shiushing Wong, Sharon E Cummins, Gary J Tedeschi, "E-cigarette use and associated changes in population smoking cessation: evidence from US current population surveys." BMJ, 2017; j3262 DOI: 10.1136/bmj.j3262* ツイート* シェア* ブックマーク

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